障子は昔からある日本の伝統的な建具です。ピンと張った白い障子は気持ちが引き締まり、程よい明るさを部屋に届けてくれます。
しかし障子は時間と共に劣化し、色があせたり穴が開いてしまったりします。そのような障子を放置し、見た目が悪くなっていませんか?小さな穴なら補修シールなどで対応できますが、破れてしまった障子は張り替えが必要です。今日は自分でもできる簡単な障子の張り替え方とコツについてご紹介します。
1.何年ごとが目安?障子の張り替え時期
障子を張り替えたことはありますか?洋風建築が多い現在、障子の張り替えを経験したことのある方は少なくなっているようです。しかし障子を張り替えることで家の明るさが増し、気持ちもスッキリします。家に障子がある方は、ぜひ定期的に障子の張り替えを行いましょう。
1‐1障子の張り替えは5年を目安に!
障子を実際に張り替えた経験のある方は、その多くが「破れていたから」「色あせたから」と答えています。つまり10年以上張り替えていない家庭が多く、家を購入してすでに数十年経つのに一度も障子を張り替えたことのない人も多いのです。
しかし障子の多くは紫外線や湿気などの影響で、5年ほどで色あせて見えない劣化が始まってきます。少なくとも5年を目安に張り替えてあげましょう。障子紙が新しくなるだけでなく、意外と障子の枠にもゴミやカビがたまっているので、5年ごとの張り替えは衛生的見てもピッタリです。
1‐2障子が破れていると、部屋の温度に影響がでる
障子に貼られている障子紙は、空気の通気性にとても優れています。夏の暑い日に部屋の温度が外より高くなると、障子紙は熱を外に放出し、冬の寒い時期には温かい空気を閉じ込める作用があります。冷暖房機がなかった昔の時代、障子は部屋の温度を調整してくれる優れた建具だったのですね。
そんな障子が一枚でも破れてしまうと、外からの外気がどんどん部屋に入ってしまいます。せっかくの優れた温度調節機能でもある障子、一か所でも破れていたり穴が開いたりしたらすぐに処置してあげましょう。
また障子が破れている状況は「風水」でも運気が逃げると言われ、良くないようです。見た目的にもカッコ悪いので、早めの対応が必要です。
1‐3障子の張り替えは、湿度が高い日がおススメ
障子の取り換えをするとき、霧吹きで水を吹きかけている場面を見たことはありませんか?
あれは障子紙を濡らすことで湿気を与え、貼り終えた後にピンと紙が伸びるようわざわざ湿度を与えているのです。晴れている時にはそのような手間がかかりますが、雨の日や湿度の高いじめじめとした日に障子の張り替えを行えば、乾いたときにキレイに仕上がります。障子の張り替えは、意外にも天気の悪い日でも大丈夫なのです。ただ乾かす際には湿度のないカラリとした天候がおススメです。
また、年末の大掃除の時期に障子を張り替えるのもおススメです。昔の人は大掃除の時期に毎年障子を張り替えていました。こうすることで部屋がより一層明るくなり、素晴らしい新年を迎えられると言われていました。
2.のりを使って、自分で障子を張り替えてみよう
ではいよいよ自分で障子を張り替えてみましょう。最近では様々な方法で障子を取り換える道具ややり方がありますが、ここでは昔ながらにあるのりや障子紙を使った張り替え方法をご紹介します。
2-1障子紙を取り換えるのに必要な道具
・障子紙 必要枚数より2枚ほど余分に準備
・障子用の糊
・ハケ
・カッターナイフ
・多きめの定規
・マスキングテープ
・新聞紙・ふきん
障子を取り換えるのは外でも部屋でもできます。しかし部屋の場合は床が汚れることが多いので、ビニールシートを敷いておくのがおススメです。
2‐2障子を張り替える手順、まずは古い障子紙をはがす
まずは古い障子紙をはがします。子供に破らせれば良いイメージがある障子紙ですが、実は大人でも破くことは難しく、道具を使わないとキレイにはがすことはできません。はがすには障子の柱を一本ずつ上からスポンジなどで濡らし、10分後にゆっくりとはがしていきます。
全体的にはがすことができたら、残った障子紙はスポンジなどでキレイにふき取ってあげましょう。あまり無理にはがすと障子の枠が折れたりするので注意が必要です。古い障子をはがしたら、その後はしっかりと乾かすことがポイントです。全体的に乾いたら、いよいよ障子紙を貼っていきます。
2-3障子紙を貼る作業
障子の枠に、まんべんなくハケでのりを塗っていきます。まずは上部の部分を障子紙と枠で仮止めをし、それから障子紙をロールの状態で下に引っ張りながら障子紙を貼ります。上から下へ静かに転がしながら貼りましょう。障子紙とのりが密着するようにこすったら、余った紙をざっくりと切り取ります。
切り取った下の部分もマスキングテープで仮止めし、のりが乾くまで1時間程度待ちます。若干シワができるので気になりますが、不要に触ってはいけません。のりが半分ほど乾いたら、余計な部分の障子紙をしっかりと切り取り、霧吹きで全体を軽く濡らしてあげましょう。こうすることで仕上がりがピンとなり、美しい障子が完成します。
またここではハケでのりを塗りましたが、最近ではスティックタイプの障子のりが人気です。のりが下に落ちることも少なく塗りやすいので、初めて障子を貼る方にはスティックタイプののりがおススメです。
3.昔ながらの張り替え方法のメリット・デメリット
のりとはけを使った昔ながらの障子の張り替えも、それほど難易度が高いとは言えず挑戦できそうな内容でした。しかし障子1つにしても大きさは十分あり、部屋にビニールシートを敷いておくなどの準備をしないと部屋が汚れてしまうデメリットはありそうです。
3-1自分で障子紙を張り替えることのメリット
昔ながらののりを使った障子の張り替えも、一度行いコツを覚えてしまえばさほど難しいことはありません。多くの人の場合、1帖目の障子はやり方が分からずよれてしまったりシワができたりしてしまうようですが、2帖目からはピンと張った障子を作ることができます。
また自分で障子を張り替えるとき、少し手間はかかりますが枠に応じた小さな障子紙を用意し、何枚かは色付きの和紙を張ってみます。すると真っ白い障子の中に色とりどりのアクセントが生まれ、一気に和風モダンの美しい障子が出来上がります。自分好みのデザインが作れることも、自分で障子を張り替えるメリットです。最近ではアイロンで接着可能な障子用紙も売られており、張り方もずいぶんと簡単になってきているようです。
3‐2意外と大変、張り替えのデメリット
昔ながらの障子を張る方法は、部屋にビニールシートを敷いておかないとハケで塗ったのりが垂れて、部屋中のりだらけになってしまう欠点があります。しかも全体的に霧吹きを使って水をかけて仕上げるので、部屋で行った場合は湿気が高まってしまうでしょう。コツを覚えてしまえば簡単な障子の張り方ですが、初めて行う人にとっては下準備の手間1つとっても大変です。
また乾いた後にはピンと張る障子紙ですが、あまりにもヨレた状態だと乾いた後もしわが目立ち、また最初からやり直す必要もあります。寝室など人目につかない障子なら少しの失敗も笑えますが、リビングなど多くの人目につく障子の場合は慎重に張り替える必要がありそうです。
3-3無理をせず、プロに頼む方法もおススメ
自分で張り替えを行う最大のメリットは、「コストが安い」ことがあります。何らかの部屋の模様替えをするとき、プロに頼むより自分で行った方が材料費を含めても半額以下ということもあるでしょう。
しかし障子の張り替えの場合、一般的な障子1帖の張り替えをプロに頼んだら、値段はおよそ2,500円程度です。しかも何帖もお願いした場合さらに割り引いてくれる場合もあります。出張費などを含んでも、何帖もの障子を自分で行う手間を考えたら安いかもしれません。しかもプロの場合障子の種類も多く、普通紙の他にもさらに丈夫な強化紙や、プラスチック和紙といった障子を選ぶことも可能です。
4、まとめ
美しい障子がある部屋は、入るだけで気持ちが引き締まり、同時に落ち着きと安らぎを感じることができます。
しかし一転して破れた障子の部屋は、とてもみすぼらしい感じがして安らぎを感じることはできません。それほど障子の美しさは部屋のイメージを変え、見た目の印象も変えてしまいます。
今やネットやホームセンターで手軽に買える障子張り替えセット。家に障子がある方は5年を目安に積極的に張り替えを行いましょう。またプロに頼んでもそれほどコストもかからず、美しい仕上がりに仕上げてくれます。色を変えたり紙の質を変えてもガラリとイメージを変更することができますから、障子の張り替えを機に、部屋の雰囲気を変えてみても良さそうです。